予告動画
《10年後》
私は26歳になった。
あの屋上で幾田さんと別れてから夏休みが明けて、世間では二学期がはじまった。
うちの学校は一か月遅れで再開して、私はA組ではなくB組の生徒の中に入った。
もちろん風当たりは冷たかった。
唯一の生き残りとして嫌というほど色々と聞かれたし、私がみんなのことを殺したんじゃないかと、騒ぎ立てる人もいた。
けれど私はあまり気にしなかった。こんなことで心を乱していられない。
しっかりと自分の言葉で伝えることが大事なんだと、なにを聞かれてもありのままで答えて、私は学校を卒業するまで堂々と過ごした。
そして、再び私はこの鷹代高校に戻ってきた。
生徒ではなく、教師として。
「なあ、この教室って10年前ヤバいことがあったクラスだろ?」
どんな巡り合わせか今年から私がいた1年A組の担任をしている。
「知ってる!予告動画でしょ?有名だよね!!」
私たちの出来事は世代を越えて受け継がれていた。
「いじめられてたヤツが復讐相手を予告してそのとおりに次の日死ぬってやつだろ?はは、ありえねー。そんなのあるわけないじゃん」
もちろん、信じていない人もいる。