予告動画
教師の仕事は大変だけど充実してる。
生徒の立場からは見えなかった大人の事情も数々と経験してきた。でも、ひとつだけ16歳のあの夏から変わらないものがある。それは……。
「木崎先生、お話があります」
人気のない廊下で声をかけてきたのは、ひとりのは女子生徒だった。
「どうしたの?」
尋ねると、ソワソワと瞳を泳がせている。
「実は……うちのクラスにいじめがあります」
きっとこの子も10年前の私と同じ。
どうにかしたいけどみんなの前で発言する勇気もないし、かと言ってこのまま見過ごすこともできないと、私に相談してくれたのだろう。
「分かった。ありがとう。教えてくれて」
いじめは、どの時代にもある。
強い者。弱い者。生徒の中にある順位というものは、これからも消えることはない。
けれど心の中にある揺るぎない気持ち。
それは、私は絶対にいじめを許さないということだ。