予告動画
「なんかできないみたい」
ちづにそう言うと、ガッカリというよりは、私の身になにも起こらなくてよかったって安堵しているように見えた。
おそらく私以外にも試してる人がいるだろうし、ライングループの人数が減ってないってことは、みんな私と同じように操作ができなかったんだろう。
「あ、そういえば幾田さんにメッセージを送ることも無料通話もビデオ電話もできなかったって言ってた」
「……誰が?」
「前園さん。今日の帰りに昇降口で隣になって少し話したんだ。目立つグループにいる人だから今まで喋ったことなかったけど、気さくでいい子だったよ」
……前園さん。私もあまり会話はしたことがない。
グループの中でも麻生さんは前園さんを頼ってる感じだったし、クラスでも学年でも前園さんは一目置かれている存在。
決して自分から前に出るタイプじゃないけど、しっかりと周りのことを見ている頭のいい人だと思う。
それを証拠に、畑さんや仲谷さん、磯山さんが森元と言い合いになった時も加勢はせずに状況を見守っていた。
きっと、この一連の黒幕が自殺した幾田さんだと分かり、もしかしたらコンタクトが取れるんじゃないかとメッセージや電話をしようとしたのだろう。
でも、なんだか違和感。
幾田さんにわざわざ連絡しようと試みたことじゃない。
なんだろう、胸になにかが引っ掛かってる。
……ピロンッ。
その時、ちづと私のスマホに同じタイミングでラインが届いた。