予告動画



「……な、なにこれ……」


あまりの衝撃な動画に背筋が凍りついていくような感覚。


怖くなって動画の再生を停止しようと画面をタップしようとした時。黒いフードの人物の手が女の子の頭に触れる。

ボールを掴んでいるように両手でがっしりと掴んだあと、ゆっくりと顔を右側に回しはじめた。


嫌な予感がして、思わず私は「や、やめて」と、画面に呟く。


けれど、私の声が動画の向こうに届くはずもなく、そのままグキッ、ゴキッと骨が軋む音がしたあと、女の子の頭はだらんとして本当に動かなくなってしまった。



ドクン、ドクン、と心臓がうるさい。


黒いフードの人物は女の子の身体を乱暴に前へと押した。


ガタンッと椅子から倒れた女の子は、まるで糸の切れたマリオネットのようにあらゆる関節がおかしなほうに曲げられていた。



怖くて気持ち悪くて、震えがとまらない。


そして、見ている私たちに確認させるようにして、床にぐったりと横たわっている女の子の顔がアップになった。



「……あ、そう……さん?」


それは、予告動画という文字の次に書かれていた麻生唯菜だった。


顔は白くて生気はなく、誰か見ても死んでいると分かる。



なにこれ、なにこれ、なにこれ。


バクバクしてる鼓動を置き去りにして、動画はぷつりと終了した。再生時間は1分30秒。



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