予告動画



あの時はそれが一番正しいことだと思ってた。

なのに私のせいであんなにもいじめがエスカレートしてしまうなんて……。


「……あ、ず、あず?」

ハッと気づくと、ちづがぼんやりしていた私の顔を覗きこんでいた。


「大丈夫?」

「う、うん。平気」


心配かけないように笑顔を浮かべると、ちづは先ほどの鈴木先生からのメッセージを見つめた。


「……明日、学校に行かなきゃいけないなんて嫌だね。事情聴取ってなにを聞かれるんだろう」


高野くんがどのようにして死んだのか。

どんなことが起きて、あんなひどい姿になったのか。

警察はそれを知りたくてたまらないと思う。


嘘をつくつもりはない。だからみんな動画のことを素直に話すと思う。けれど問題なのは、大人が信じてくれるかどうかだ。


きっと高野くんの遺体はあのあと別の場所に運ばれた。でも現場検証もあるからA組の教室はまだそのままだと思う。


出来ることなら記憶を消したいくらい、高野くんの姿が目に焼き付いてる。

私は帰宅したあと、身体中に浴びた血を洗い流すためにすぐにお風呂に入った。何度も何度も洗って、痛いくらい皮膚を擦ったけど、まだ血の匂いが残ってる気がしてずっと胸がムカムカしてる。



……ピロンッ。

そんなことを考えていると、再びラインの通知音が鳴った。


また鈴木先生だと思い、画面を確認すると……。




【予告動画】


幾田さんから恐怖のメッセージだった。


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