花に恋するチューリップ
花屋って女子が入るイメージ。
スーパーとかで片隅に花が置いてあるのは知ってるけど、“花屋”って言う花しか置いてねえところには行った事はない。
けどこっちの方が種類多いし、なんせ病院から1番近いからいいかな...
__カランカラン
「いらっしゃいませ〜」
入った瞬間、ブワッと花に包まれる香りと温かい雰囲気になった。
女子が好きそうなお店だな...
丁度夕日が窓から差し込んでいて綺麗だ。
「あ!!!!!!!!!」
目を大きく見開け、俺を見つめる女子が居た。
同い年くらいの子で、一度も染めた事が無さそうな綺麗で長い黒髪が風でなびいていた。
いかにも清楚な雰囲気が出ていた。
「えーっと...何?」
「あっ、私隣のクラスの花井 優って言うんですけど...まさか榊原くんがこんな花屋に来るなんて思ってなくてビックリしちゃった...」
俺の周りは“花”と呼ぶ奴が多いから、榊原くんと呼ばれるのがこそばゆい感覚になる。
俺は1組だから、2組と言う事になるのか。
「花井さんね、よろしく。俺の事花って呼んでいいよ」
「じゃあ花くんで!...ところで何か探している花とかあるの?」
「ちょっと母親のお見舞いにさ...どんなのがいいか分からないから種類多そうなちゃんとした花屋に入ろうと思って。てか、花井ってここで働いてるの?」
「ここは私の家の花屋だよ!ちょっと待っててね、今用意する!」