花に恋するチューリップ
「いや...私は昨日知り合ったばっかで...」
白い肌だから、今頬が赤くなっているのがよく分かる。
その後すぐ他のお客さんに呼ばれて、居なくなってしまった。
そう言えば...あそこの花屋って隣町だったな。
そりゃ遭遇率高いわけだ。
「花井さんって誰?知り合い?」
雄大がすごく食いついてくる。
雄大の好みっぽい感じもするが...あの子は無理だろう。
「2組の花井優さんだーよ」
「花、話し方キモい!!!」
そんなこんなで、楽しい時間はあっという間に過ぎた。
気づけば11:30になっていた。
みんな記憶を失くしたり、吐く程は呑んでないけど、最高に気分のいい感じで仕上がっている。
店を出て二次会のカラオケにでも行こうとした時、花井が裏口から出てくるのが見えた。
...男と2人だ。少し揉めている様にも見える。
つか、こんな時間までバイトさせるのって違法じゃねーの?
もう考える暇もなく、体は勝手に動いて居た。
「優待ってたよ。早く俺ん家帰ろ」
男を睨み付けると、すぐに目を逸らされた。
花井はビックリした表情をしていたが、何も言わずにすぐにホッとした表情へと変わった。
あいつらはその一部始終を見ていて、何を勝手に想像したか知らないが、俺を置いてカラオケへ向かっていた。
「花くん...あの、助けてくれてありがとう。バイト本当は10:00に終わってたんだけど、さっきの先輩と話してて、中々帰してもらえなくて...」
これじゃあ本当に付き合ってるカップルで、彼女の言い訳を聞いているみたいじゃ無いか。