貴方の背中


結局
伊藤さんは桃子婆ちゃんの家具を売ってしまった事や通帳から
お金を引き出そうとしていた事を話した


お嫁さんも

認知症になってしまった桃子婆ちゃんを自宅では看れないし一人にも出来ないからって

知り合いの経営しているというグループホームに今日中に入れるように手配した


けんちゃんは仕事を休んでくれて
ずっと側にいてくれた


「けんちゃん…ごめんね。私のせいで仕事を休ませちゃったね。でもありがとう。けんちゃんいなかったら私…」


言葉につまって泣きそうな私の背中をそっと撫でてくれる


「大丈夫だからね」



……私この人の側にいたい

結婚とかよく分からないけど


けんちゃんの側にいたいから…


「けんちゃん…私あなたのお嫁さんになりたい」


そう呟いた


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