コーヒーに砂糖とミルクを注ぐ時
ふわりと体が引き寄せられる。私は零くんに抱きしめられていた。

「俺も、ずっとあなたが好きでした。今も大好きです。雪に会いに来た目的は、あなたを攫うためです」

私を抱きしめる腕に力が入る。耳元でささやかれた告白に、心臓が高鳴る。コーヒーはもうブラックではない。ミルクが多く、苦くないカフェラテだ。

「俺、実は会社をやめたんだ。ずっと夢だったことを叶えたくて……」

「夢?」

まだ涙がにじむ目で、私は彼を見つめる。彼は恥ずかしそうに言った。

「オーストラリアでカフェを開きたいんだ。そのための準備はもうできてる。……一緒に行かない?」

美桜さんからもらったポインセチア。光さんからもらった栞。みんな私の幸せを願っている。

「雪が望まないことで、幸せになんてなれない。俺が必ず幸せにする。だから……」

「許されるなら、私はあなたにどこへでもついていきます!」

零くんが笑う。私も笑う。こんなに幸せを感じるのはとても久しぶりで、涙がまたあふれた。
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