コーヒーに砂糖とミルクを注ぐ時
ああ、こうして笑ったり泣けたりするって幸せなんだ……。

「零くん、私も荷物をまとめます」

「わかった。じゃあ、行こう」

手を繋いで、冬の街を歩く。繋いだ手の温もりが愛しい。

駆け落ちなんて、両親は怒るだろう。美桜さんたちは驚くだろう。

だけど、それでも構わない。

感情を失い、コーヒーのように重く苦い毎日なんて嫌だ。人を愛せない、愛されない人生も嫌だ。

私はもうこの人しか愛せない。もうこの人以外に恋はできない。

コーヒーに砂糖とミルクを注いでくれたこの人と、幸せと自由を掴みたい。だから……。

私は、繋がれた鎖を引きちぎった。



終わり
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