おやすみピーターパン

すっと腕を伸ばして、ベッドに横たわる彼に覆いかぶさるような形で抱き寄せた。彼は、力の入らない腕を私の背に回して答えてくれた。


「………っ……」


彼は何かを言いたかったようだけど、咳がその邪魔をする。苦しそうでなんだか気の毒に思えた。

あんまり下手くそな泣き方をするから、今までちゃんと泣いたことがないんじゃないかと心配になった。


「……ふう……」


今度ははっきりと私の名前を呼んだ。


「俺の物語の………登場人物になってくれてありがとう」


独特の言い回しになんだかほっとする。

今日、この日が。
君の物語にとって分岐点であるように、ただ願う。








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