お姫様の幸福
「ゆずりぃぃぃぃぃぃぃ!!」

いきなりあたしのことを呼ぶ声が聞こえてきた。

「え?柚樹お兄ちゃん!?」

廊下をもうダッシュでこっちに来るのはあたしの兄、会沢柚樹(あいざわゆずき)。

「げっ、会沢…」

嘉雅先輩は嫌そうな顔をした。
先輩と柚樹お兄ちゃんは二年生の同じクラス。しかもバスケ部のレギュラー同士だった。

「ケガは大丈夫か?あぁっ血が出てるじゃないか!」

お兄ちゃんはあたしの腕を見て顔を青ざめさせる。

「…会沢、そろそろ過保護っつーかシスコン直したら?」

先輩が呆れた声を出す。

「うるさい今田っ!!てゆーかなんでお前が柚里と手をつないでいるんだ!」

「保健室、連れてくから。なぁ柚里」

「はい。だからお兄ちゃんは帰ってていいよ?」

あたしははっきり言ってお兄ちゃんのシスコンモードは嫌いというかうざかった。

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