お姫様の幸福
その日の放課後。
あたしはたまたま大和と一緒に職員室から教室に向かっていた。

「大和、あんた彼女いたんだね…」

「…誰から聞いた?」

「あんたの彼女本人が言ってマシタ」

大和は苦い顔をしてあらぬ方をみる。
こうして見ると大和だってカッコ悪い訳じゃない。
むしろ身長と合わせて可愛いと言われるような容姿だ。

「あさってのデートついてきて欲しいって言われた」

「なんで?」

「気まずくなるのが嫌だって」

「じゃ、3人でどっか行くわけ」

あきらかに機嫌が悪い。
こいつは2人っきりが良かったらしい。
「ううん、Wデート。あんたと蜜。あたしと嘉雅先輩」

「ならまだましだ。…ん?ちょっとまて」

なにかふに落ちないことでもあるのか。
「お前、今田先輩と付き合ってんのか?」

「え…。まっまだ」

「まだってことはいつかは付き合うってこと?」

「わかんない…。嘉雅先輩のこと好きかわかんないし」

「そぉか」

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