Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
プロローグ
「君は本当に、それでいいのか」
彼が眼鏡の奥から、じっと私を見つめる。
きっとそんなつもりはないのだろうが、責めるような瞳に内心、冷たい汗をかいた。
いままでずっと、諦めることの多い人生だった。
周りの目には、なんでもわがまま放題に育ったお嬢様、そんなふうに見えていただろう。
けれど、私の好きにできたことなんて、あまりない。
いつもいつも、父の、婚約者の顔色をうかがい、その希望に添うように振る舞ってきた。
「私は」
もうなにも諦めないと決めた。
父と婚約者の言いなりにはならない。
あの――籠の中にはもう戻らない。
「私はもう、諦めません。
婚約者とも結婚しません」
私には許されない言葉。
彼が眼鏡の奥から、じっと私を見つめる。
きっとそんなつもりはないのだろうが、責めるような瞳に内心、冷たい汗をかいた。
いままでずっと、諦めることの多い人生だった。
周りの目には、なんでもわがまま放題に育ったお嬢様、そんなふうに見えていただろう。
けれど、私の好きにできたことなんて、あまりない。
いつもいつも、父の、婚約者の顔色をうかがい、その希望に添うように振る舞ってきた。
「私は」
もうなにも諦めないと決めた。
父と婚約者の言いなりにはならない。
あの――籠の中にはもう戻らない。
「私はもう、諦めません。
婚約者とも結婚しません」
私には許されない言葉。
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