Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
「田北に連れていってもらう?
でも彼、まだ忙しそうだしなー。
あ、僕が車を借りて行けばいいんだ」

春熙は勝手に決めて田北さんから強引に鍵を借り、私を乗せて車を出した。

「僕はね、愛乃になにかあったら生きていけなくなる」

「……うん」

ずっと、ただ婚約者だから言っているんだと思っていた。
でも、今日の春熙は。

「父さんが僕に厳しいのは知っているでしょ」

「……うん」

おじさま――春熙の父親は私を可愛がってくれたが、春熙には完璧を求め、つらく当たった。
実の親子とは思えないほどに。

――いや、実の親子だからかもしれないけど。

「母さんも家柄か、僕に厳しいし」

「……うん」
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