Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
トントンと肩をつつかれ顔を向けると橋川くんが紙を差し出してきて、それを受け取った。
これが高鷹部長がご立腹な原因。
今日の会議で決まった、新商品の広告プランだ。

……これじゃ確かに、売れないよね。

今度の新商品は、新型スチームトースターだ。
パンは中がふわっと外はさくっと焼け、冷めた天ぷらもさくさくによみがえる。
しかも余分な脂もカットしてくれると、健康志向の現代にマッチしている。

――ただし。

【冷めた天ぷらも愛情と一緒によみがえる】

なんてキャッチコピーが踊っていて、いくらなんでもこれはないと思う。

「莫迦なのか!?
上層部は莫迦の集まりなのか!?
これなら橋川の方がよっぽどましだ」

「……なにげに酷いです」

ぼそっと呟いた橋川くんだけど、じろっと高鷹部長に眼鏡の奥から眼光鋭く睨まれてひぃっと短く悲鳴を上げた。
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