Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
そう言って悩む私の背中を押してくれたのは征史さんだ。
生まれて初めて履歴書を書き、この店を訪れたときのことはいまでもはっきりと覚えている。
ガチガチに緊張していた私に店長は、そんなに緊張しなくていいよと笑ってくれた。
――けれど。
「えっ!?
あのSMOOTHの元専務の娘で、現社長と結婚予定?」
楽しく着物の話をしていたのに家庭環境の話になった途端、店長の態度が一気によそよそしくなっていく。
ああ、この人もいつもの人たちと同じなんだってがっかりした。
「……今日はありがとうございました」
来たときのどきどきわくわくとした高揚感はどこにもない。
家に帰っても反動で落ち込みがあまりにも酷く、征史さんが心配したくらいだ。
抜け殻のようになって過ごしていた翌日午後、一本の電話がかかってきた。
『香芝愛乃さんの携帯でしょうか?
私、KIMONOKODOUの……』
生まれて初めて履歴書を書き、この店を訪れたときのことはいまでもはっきりと覚えている。
ガチガチに緊張していた私に店長は、そんなに緊張しなくていいよと笑ってくれた。
――けれど。
「えっ!?
あのSMOOTHの元専務の娘で、現社長と結婚予定?」
楽しく着物の話をしていたのに家庭環境の話になった途端、店長の態度が一気によそよそしくなっていく。
ああ、この人もいつもの人たちと同じなんだってがっかりした。
「……今日はありがとうございました」
来たときのどきどきわくわくとした高揚感はどこにもない。
家に帰っても反動で落ち込みがあまりにも酷く、征史さんが心配したくらいだ。
抜け殻のようになって過ごしていた翌日午後、一本の電話がかかってきた。
『香芝愛乃さんの携帯でしょうか?
私、KIMONOKODOUの……』