Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
第1章 自由or不自由?
「たったこれだけのことに、どれだけ手間をかけさせる気だ!?」
コツコツと音を立て、目の前に立つ銀縁眼鏡の男がカウンターをイライラと指で叩く。
「す、すみません!
今度こそ、ちゃんとした用紙を持ってきますので……」
ひたすらぺこぺこと男にあたまを下げた。
彼が怒っているのは当然だ。
ものの五分とかからない手続きなのに、もう十分以上たっているがいまだに完了しないのだから。
「もう新入社員というわけじゃないんだから、しっかりしてもらわないと困る」
「……はい」
季節はすでに春。
もう数日もすれば入社式が行われ、新入社員たちが入ってくる。
なのに私はいまだに、転居届の書類一枚すら、満足に書いてもらうことができない。
「あの、どうかされましたか」
来客が帰ったのか、戻ってきた杉原(すぎはら)課長がこわごわ、イラついている男に声をかけた。
コツコツと音を立て、目の前に立つ銀縁眼鏡の男がカウンターをイライラと指で叩く。
「す、すみません!
今度こそ、ちゃんとした用紙を持ってきますので……」
ひたすらぺこぺこと男にあたまを下げた。
彼が怒っているのは当然だ。
ものの五分とかからない手続きなのに、もう十分以上たっているがいまだに完了しないのだから。
「もう新入社員というわけじゃないんだから、しっかりしてもらわないと困る」
「……はい」
季節はすでに春。
もう数日もすれば入社式が行われ、新入社員たちが入ってくる。
なのに私はいまだに、転居届の書類一枚すら、満足に書いてもらうことができない。
「あの、どうかされましたか」
来客が帰ったのか、戻ってきた杉原(すぎはら)課長がこわごわ、イラついている男に声をかけた。