Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
「高鷹!」
ノックもなしに突然、ドアが乱暴に開く。
止めようとした男性の制止を振りきり、つかつかと勢いよく入ってきて高鷹部長の襟首を掴んだのは――父、だった。
「こんな人事、許可した覚えはない!
愛乃は総務に戻してもらうぞ!」
「覚えがないもなにも。
もう辞令は下りましたので」
顔を真っ赤にしてつばを飛ばし気味に激高している父とは違い、高鷹部長は平然ととぼけてみせた。
「お前が脅して出させたんだろうがっ!」
「人聞きが悪いですね。
とにかくもう、愛乃さんは経営戦略部の人間ですので。
愛乃さんが嫌だと言わない限り、異動させる気はありません」
父の手を振り払ってネクタイを正し、高鷹部長がリムの右端をつまんで眼鏡の位置を直す。
その銀縁眼鏡と同じくらい冷たい視線を向けられ、父は言葉を失った。
「それで。
香芝はどうする?」
ノックもなしに突然、ドアが乱暴に開く。
止めようとした男性の制止を振りきり、つかつかと勢いよく入ってきて高鷹部長の襟首を掴んだのは――父、だった。
「こんな人事、許可した覚えはない!
愛乃は総務に戻してもらうぞ!」
「覚えがないもなにも。
もう辞令は下りましたので」
顔を真っ赤にしてつばを飛ばし気味に激高している父とは違い、高鷹部長は平然ととぼけてみせた。
「お前が脅して出させたんだろうがっ!」
「人聞きが悪いですね。
とにかくもう、愛乃さんは経営戦略部の人間ですので。
愛乃さんが嫌だと言わない限り、異動させる気はありません」
父の手を振り払ってネクタイを正し、高鷹部長がリムの右端をつまんで眼鏡の位置を直す。
その銀縁眼鏡と同じくらい冷たい視線を向けられ、父は言葉を失った。
「それで。
香芝はどうする?」