Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
「私は……」

きっと、父に従って総務に戻るというのが正解なのだろう。
でも私は昨日、高鷹部長にこのまま諦め続けるのかと問われ、少なくとも一歩、踏み出した。

――ならば。

「私はここで、経営戦略部で仕事がしたいです。
総務には戻りません」

初めての私の反抗に、父は信じられないものでも見るかのように瞳を揺らがせた。

「だ、そうですので。
……香芝専務にお引き取りいただいて」

控えていた男性に伴われて、父は入ってきた勢いなど見る影もなく、とぼとぼと出ていいった。
その姿に良心が痛まなかったわけではないが、後悔はしたくない。

「君が経営戦略部の一員である限り、俺は君を守ってやる。
相手が父親だろうが、婚約者だろうが」

父の手を離れたのだと実感が徐々に湧いてきて、少しずつ期待に胸が膨らんでいく。

「はい、よろしくお願いします」

こうして私はほんの少しだけれど、生まれて初めての自由を得た。
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