Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
「……悪くない、です」

「うん、ならいい」

満足げに頷き、高鷹部長は足早に去っていった。
この後は開発部と打ち合わせだと言っていたから、もしかしたら時間が迫っていたのかもしれない。

『愛乃』

もう一度、高鷹部長の声を思いだしてみる。

いままで私を呼び捨てにしたのは家族か春熙くらいだった。
高鷹部長に呼ばれるのが特別に感じるのは、男性に免疫のない私のただの勘違いだとわかっている。

――それでも。

私に自由を与えてくれた人だから、特別だと思ってはいけないだろうか。


お昼までひたすら、エクセルとメールソフトの使い方を教えてもらった。
椎名さんは……かなりのスパルタだった。

「ここ、間違ってる」
< 44 / 340 >

この作品をシェア

pagetop