キミに笑ってほしくて
暫く見ていると、ある1人の男の子が彼の背中をポンっと叩いた。
叩かれた彼は窓から目線を逸らし、叩いた犯人へと目線を変える。
そこで露わになる彼の顔。
綺麗…
純粋にそう思った。
さっきの横顔だけでも充分に綺麗だったのに、正面から見た顔はまるでお人形さんのように綺麗だった。
なのにやっぱり目は輝いていない。
気だるそうで時々覗く哀愁。
何に対してかは分からないけれど、見ていてなんだか悲しくなった。
初対面でその上話したこともないのに我ながらアホだと思う。
それでも悲しくなったのだから仕方ない。