先輩。
後方から聞こえた聞き覚えのある声。
この声は、忘れるわけない。間違えるわけがない。

だってこの声は──・・・

「……先輩」

後ろを振り向くと、あのころと変わらない笑顔の先輩が歩いて来る。
目が合った時、「あぁ、ダメだ。早くここから立ち去らないと」と思った。衝動的に今までの思いをぶちまけてしまいそうだった。

「久しぶりだな。もう高3か?」

「お久しぶりです。はい、3年になります。もう今年で卒業です。…先輩は?」

「そっか、早いなぁ。俺はバイトにサークルにもうバリバリよ!…つっても、今は春休み中だからちょっとのんびりしてるよ」

「あ、あぁ、なるほど…。春休み、いつまでですか?」

「んーとな、5月の後半あたりまでかな?」

「あ、じゃあ海開きとか行けますね」

「おぉ〜確かに。したらさ、」

「なんです?」
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