朝マヅメの語らい
「アオリイカですよね」
「……なんでわかった」

「さっき、ちらっと画面が見えてしまったので。セットのラインは0.8号でした?」
「ああ、たぶん」

 画面を切り替え、ショッピングサイトに戻って確認する。アオリイカ釣り用のエギングロッドとセットになっているPEラインの号数は、0.8と書いてある。

 画面を見たのはほんの一瞬だ。それだけで、こんな数字を読めるわけがない。ということは、おそらくセット売りでは0.8号が標準だと見るまでもなく知っているのだ。

「でも、0.8でも釣れるんだろ?」
 橋爪は試すように訊いた。

「ええ、まあ。釣れなくはないです。ただ、時期的に今は子イカなので、少しでもラインの抵抗をなくして、感度を上げたほうがいいと思います。

実はついこの間、イカ釣りがはじめての友人を連れて行ったら、0.8でアタリに気づかずにシャクって、足ばかり釣っていました。もちろんゲソはすべて美味しくいただきましたが」
< 12 / 50 >

この作品をシェア

pagetop