朝マヅメの語らい
坂巻は渋々といったようすで頷いた。顔には出さずとも、やりにくい上司だ、と思っているだろう。

しかしそういった感覚がお互い様だからこそ、割り切った関係でいることが重要であり、坂巻もまた同じように考えているはずだった。

 二年間、軽口を叩きながらも打ち解けない関係。仕事ならば、そのくらいの距離感がちょうどいい。橋爪はにやりと歯茎を見せた。

「別に仕事しねえって言ってるわけじゃない。決まったことくらいはやるぜ、俺は会社の歯車その一、サラリーマンだからな」
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