どうぞ私を裁いてください。

わたしの回答に満足したのか、もう話すことも尽きたのか、柳くんはそのままふいっと前を向いてしまった。


無意識のうちに緊張していたらしく、柳くんがわたしに興味をなくしてしまった瞬間に、ふっと息がしやすくなったのを感じた。

もう周りの音なんて聞こえなくて、柳くんが横を向いて誰かと話しているその声、音だけがやけに耳につく。
なにを話してるのかはわからないけど、話す声に心臓の音がうるさく、苦しくなる。


…柳くんは、かっこいい。
爽やかでどこか幼い綺麗な横顔をしている。

柳くんが整った顔をしているからか、柳くんと話しているお友だちも、なかなかに整った顔をしている。


その人と目があって、ニコッと笑顔を向けてきたから、なにも言わずすぐに目をそらした。


少しして、先生が来て、ざわざわと騒がしさを残しつつ、みんなそれぞれの席へとついた。


さきほどの男子はわたしのすぐ隣の席。
名前は知らないけど、隣の席なら名前くらいは自己紹介のときにちゃんと聞いて覚えておこう。

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