どうぞ私を裁いてください。


流れるように始業式が終わってしまって、短い休み時間をはさんだあと、式で担任だと紹介された先生が、教卓の前に立って自己紹介をしていた。


柏木俊介先生。
去年の数学の教科担任だったから、まったく関わったことがないわけじゃないけれど、
逆に言えば教科担任としてしか関わったことがないから、どんな人かはあまり知らない。

去年もどこかクラスをもっていたし、少しくらい他クラスにも興味を向けていればよかったかもしれない。


柏木先生の特に大して重要ではない話を聞き流して、ぼーっとしていると、先生がゆったりと教室を見回した。


「じゃあまあ、とりあえず番号順に自己紹介でもするか。はじめましての人もいると思うからな」

じゃあ、はい、と、窓際一番前の席に座っていた女子を手でさして、自己紹介するように促した。

カタン、と椅子の音がして、シンとクラスが静まり返る。


「青井 真希、です」

ドクッと心臓が嫌な音を立てた。
どこを見ていたかわからない視線が、確かに柳くんの横顔を捉えて、心臓がうるさくなった。

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