どうぞ私を裁いてください。


柳くんの横顔に、目を細めて朗らかに笑う、
碧くんの姿が重なって見えて、息が止まってしまったような苦しさに襲われた。


だけどそれもすぐになくなって、なんとか気持ちを落ち着けようと小さく深呼吸を繰り返した。



全然、知らない人なのに、知らない人の名前に、こんなにもやけに反応してしまうのは、柳くんに会ってしまったからだろう。
わたしの視界に入る範囲に、柳くんがいるからだろう。


…碧くんじゃない、碧くんなんて知らない。
おちつけ、落ち着けわたし。


「去年のクラスと、趣味と、あとみんなに一言もよろしく」

「あ、えっと、去年は二組でした。趣味は、…」

柏木先生の一言に、青井さんはすぐに対応して趣味やなんやらを簡潔に話して、席に座る。


次、という柏木先生の気だるげな指示に、次の人が立ってまた自己紹介していく。


一応名前だけ、頑張って覚えようと努力して耳を傾けていた。覚えたところで、関わることなんてないだろうに。

意識して聞いていると、一人ひとりの自己紹介が長く感じた。

それから、やっと、隣の列まで来て、わたしの隣の席の人が立ち上がった。

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