どうぞ私を裁いてください。


「…会妻駅?」

柳くんは、少しだけ考えてから、ぴたりとわたしの最寄り駅を当ててみせる。


学校の最寄り駅から三駅なら、二択しかないから当てられても不思議じゃないけど、
二択でも、真っ先にわたしたちの中学校により近いほうの駅をあげるところが、なんだか見透かされてる気がした。

できるなら遠くに行きたいというわたしの気持ちを、見抜かれてしまってる、そんな気が。


わたしはごまかすことはなく、素直に首を縦に振って頷いた。

すると柳くんは、ほんの少しだけ嬉しそうに、ふっ、と笑みをこぼす。


「なら、おれも一緒だ。おれは自転車で来てるけど」

引っ越したんだ、と付け足した柳くんに、わたしはさらに複雑な気持ちになった。


学校が被っただけじゃなくて、引っ越し先まで被ってたんだね。
そんな奇跡、あるんだ。


もう、ここまでくると割り切れてきて、わたしはまっすぐ柳くんを見た。

「自転車だと、遠くない?」

「ちょっと、遠い」

 やっとまともに柳くんの顔を見れて、ちょっと困ったような表情を浮かべてる柳くんに、わたしも少しだけ口角を上げた。

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