どうぞ私を裁いてください。
「浩太、結月さんと知り合いだったんだね」
松山くんはそんな柳くんの様子なんて気にならないようで、ちょっと驚いた顔をして、ちらっとわたしを見てから、また柳くんの顔を見た。
「ん、中三の時、同じクラスだった」
柳くんはコクンと頷いて、さらっとそんなことを言った。
できれば、あまり人には知られたくなったこと。
だけど知られたくないのはわたしだけだから、柳くんはなにも気にせず言ってのけた。
さらに驚いた松山くんの目に、もうわたしは映っていなくて、柳くんもすっかり松山くんの方を向いているし、今のうちに帰ってしまおうと思った。
荷物を詰め込んだスクールバッグを肩に提げて、そっと席を離れようとする。
「え、そうなの?浩太、中学の知り合いは誰もいないって…」
「あ、結月さん」
多分、言ってなかったかと続けたかったであろう松山くんの言葉を遮って、柳くんは少し慌てたようにわたしを呼び止めた。
わたしが帰ろうとしていることに、どうやら気づいたらしく、そちらを向いたわたしに、ゆっくりと手を振る。
「また明日」