どうぞ私を裁いてください。


去年までまともに挨拶する人すらいなかったわたしが、たった一週間で、その違和感に慣れることはできないけれど、なんとかその挨拶を受け入れることはできた。

はじめはそりゃ、話しかけないでとも思ったけれど、朝や帰りの挨拶と、ほんの少しの会話くらいならまあいいかと諦めがついた。


わたしは本を開いたまま、イヤホンを片耳だけ外して、柳くんを見上げる。


「うん、おはよう」

そう返せば、柳くんはコクンと頷いて、前を向いて自分の荷物を整理し始める。
わたしはそっと視線を落として、また本に並んだ字を目で追っていく。



そういえば、今日は委員会決めがあったっけ。

ふいにそんなことを思い出して、わたしは後ろの黒板に目を向けた。
そこには確かに、今日の日付の隣に、委員会決めと書かれていた。


委員会、もしくは係、どちらかには絶対に属さなきゃいけない。
わたしはもう、どれにするか決めていた。



去年もやっていた、図書委員。
係と違ってクラスからは男女一人ずつで、委員会の集まりも少ないし、仕事も一人でもできるもの。
それに、本は嫌いじゃないし。


もし誰かと被ってしまったら、そのときは譲ろうと思うけど。
できることなら、他のものにはなりたくないし、図書委員がいいかな。

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