どうぞ私を裁いてください。


柳くんはくるっと後ろを向いて、わたしの顔を見て、ぺこっと軽く会釈をしてみせた。
それがなにを意味してるのかわからなくて、戸惑ったまま、わたしはただ柳くんの顔をまじまじと見ていた。

柳くんはすぐに前を向いてしまって、そのまま黒板のほうを見つめていた。



…わたしが手をあげたすぐあと、横を向いてクラスを眺めていた柳くんと一瞬目があった気がしたのは、気のせいだったのだろうか。
それとも、わたしが手をあげたのを見て、柳くんも手をあげたのだろうか。

わたしがいたから図書委員にしたかもしれないというのは、わたしが自惚れてるだけかな。


柳くんは、こうして普通に話しかけてくれるけれど、わたしのことなんてきっと、嫌いなはずなのに。



「おれ、図書委員はじめてだから、よろしくね、結月さん」

いろいろ教えて、と、柳くんはそう言った。
一時間目が終わって、ロッカーの中に押し込んでいた教科書を、机の上に乱雑においたことは無視して、柳くんはさらりとそう言った。

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