どうぞ私を裁いてください。
さっきまで松山くんと話していたはずなのに、もうすでにわたしのことをじっと見つめている。
「ああ、うん、わかった」
突拍子もなく話しかけてくるから、やっぱりうまく返せない。
ちょっと言葉に詰まってしまって、カタコトとした返事になってしまう。
「結月さん、読書好きだって言ってたもんね」
「…まあ、」
松山くんがニコニコと笑いながら、よく覚えてるでしょ、なんて言いたげにそう言った。
返す言葉も見当たらなくて、適当な返事をして席についた。
進級して、一週間。
柳くんと同じクラスになってしまったことは仕方ないと、数少ない知り合いであるわたしに話しかけることも仕方ないと、そう割り切れてはいたけれど。
だけど、やっぱり、できることなら関わりたくないのに、まさか、委員会まで同じになってしまうとは、思わなかった。
柳くんは、きっとなにも考えていないのだろう。
一人で過ごすわたしを可哀想とも、わたしに意地悪をするつもりも。
ただただ自分自身の数少ない知り合いで、まともな会話をしたかはおいておいて何度か言葉を交わしたこともあるわたしになら、普通に話しかけることができるから、話しかけているだけ。
たまたま知り合いが後ろの席にいるから、適度な関係を保とうとしているだけ。