どうぞ私を裁いてください。
イヤホンをはずして、わたしは音を立てたその指を見た。
細くて白い、でも角ばった男子らしい指。
一瞬息を呑んで、おそるおそる上を向くと、そこにはわたしの見たくない顔が、わたしのことをじっと見ていた。
「やっぱり、」
ポツリと呟かれた声なのに、こんなうるさい教室の中でもはっきりと聞こえてしまう。
最後に聞いたときよりも、いくらか低くなって心なしか大人びたその“男の子”の声は、いたずらにもわたしの心を重くした。
シュッとしていて、でも少し大きな二重の黒い瞳は、目の前のわたしすら映していないみたいだ。
いやむしろ、わたしの真っ黒な心まで映してしまっているみたいだ。
わたしはその目で見つめられるのがあまり好きではなかったけど、今はむしろ嫌いだとはっきり言える。
わたしのなにもかもを、見透かしているみたいで、嫌いだって。
「結月すみれって、あの結月さんだったんだ」