どうぞ私を裁いてください。

わたしはなるべく話しかけるな、と訴えかけるような目で、柳くんをじっと見つめた。

柳くんはそういう人の感情には疎いのか、わたしの行動の意味に若干首を傾げつつ、まあいいかという顔をした。


「女子で話せるやつ、いてよかった。修学旅行とか、あるし」

「…あはは、そうだね。わたしも、だよ」


確かに、今のわたしには、こうして話しかけてくる柳くん以外に話す相手はいない。
同性ですらいないのだから、異性になればもってのほかだ。


入学当初は何度か声をかけられたこともあったけど、なるべく関わらないようにしていたら、話しかけてくるような物好きもいなくなった。



それにしても、笑えない。
修学旅行のことすっかり忘れていたけど、今の言い方、柳くん、話せるやつと一緒の班がいいとか言い出しそうで。


…別に、柳くんのことが嫌いなわけじゃないんだけど、柳くん自体が嫌いなわけではないんだけど。

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