彼氏がいなくなった
「生憎こちとら昼間っからお熱いお二人さん相手にしてるほど安かねーんでね」
「日野くんあれ嫉妬??30半ば越えても恋人出来てないから嫉妬してるのかね」
「結婚間際で逃げられた花屋の店主のことまだ引き摺ってんのかね」
「お前ら死ぬ覚悟は出来てるな」
ひと世代前の殺し屋のようなセミオートのサングラスにチェーンソーを携えるてっさんを前にして、冗談冗談と二人して手を振り回す。
真冬だというのに上のツナギを脱いで剥き出しになるタンクトップと上腕二頭筋にうはうはしていたら隣から日野に叩かれた。
頭にタオル、煙草、タンクトップonツナギそして見える上腕二頭筋。この三拍子のロマンは男のお前にはわかるまい。
(しかもロン毛だぞ神だ)
「冷やかしならよそいってやれ、つーか颯太お前は前修理してやったチャリのチューブ代払え」
「ツケといてっつったじゃんそんな簡単に男子高校生が金稼げると思うなよ」
「思うなよ」
「多香エコーすんなっつーかお前のチャリはあれ壊れすぎだ前にもチェーン外れてたろ、いい加減新しいのに買い替えろって。修理費の方が高くついてんぞ」
「さて多香さん僕らは公園にでも行きますか」
「ラジャーっすばいばいきーん」
「死ねバカップル側溝に落ちて死ね」