恋空rain’s
第2章「友達以上になれますか」

───学校───

「ふふっ」
「ナニ、嬉しそうだね?」
私の口からは隠しきれぬhappyが飛び出していた。花ちゃんには・・・まだ言えない。ショウ君にフラれましたなんて。そしてその後出会った初対面の男の子に恋をしました、なんて。
「ちょっとね、ひみつ。」
「・・・あのさ雨。話があるんだけど」
──キーンコーンカンコーン・・・
「授業はじまるよっ」
「う、うん・・・」
花ちゃんごめん。思わず話を遮ってしまった。
だって次数学だもん。昨日の居眠りに続き、
また怒られちゃう。早く座らなきゃ!


───放課後───

「雨、あたしね、話があるの。」
さっき言おうとしてたこと?なんだろう・・・
「う、ん?」
「あの・・・あのねっ」
今日の花ちゃんなんか変だよ?落ち込んでる感じがする。
「え、え、どうしたの?」
「うっ、雨ごめんんん」
「え?私??」
「ごめんね、あたし、昨日雨がショウに告白するって言う前から、あいつに好きだって言われてたの」
謝る花ちゃん。私は、状況が掴めずにいる。
「え?」
「なのに、それを言えなくて・・・ごめん」

それって────。

「もし誰かに告られても、付き合わないって言ってた。」

え、、

「花が好きだからって。」

そんなことって───。

「うそ・・・花ちゃんは答えを知ってて、がんばりなよって言ったの?」
「うん・・・ごめんなさい」
花ちゃんは、いつもの強気を失ってるようで、めずらしく泣きそうになっている。

「ショウ君の好きな人って、花ちゃん?」
「うん・・・多分」
なのに私は・・・

「親友だって言ってたのに、ひどいよ」
いつもはこんな会話しないのに。
口から飛びたした爆弾は、戻せずにいる。

「雨、聞いて、待って」
「今日は一人で帰るね。ばいばい」




───家(雨)────

ーパタンッ。
「ただいまー。」
『・・・・・・・・・』
「ぁ、今日お母さんとお父さんいないんだっけ。」
今日は両親の結婚記念日。お泊まりデートに行ってます。
くそぉ!いいなぁ、あの歳になってもイチャイチャラブラブできるって・・・
いいもん!私だって・・・私だって・・・・・・

ープルルルルルル・・・
電話だ。花ちゃんからの。
でも今は何を話したらいいのかわからない。
私は電話に出ることをしなかった。

「メールも来てる・・・」

ごめん、今は一人で考えさせて。

わかんない、こんなこと初めてで、花ちゃんに強く言ったのも、花ちゃんがあんな顔を見せたのも。。

あぁもう。こんな時は、太陽くんに会いたい。
また、会いたい。。



───家(太陽)───

・・・来てしまった。。

ーピンポーン・・・
「・・・・・・」
ーガチャ。
「おぅ、雨ちゃんだ」
太陽くんは少し驚いた表情をしていた。
出てきてくれることを願って呼び鈴を鳴らしたのに、私まで驚いてしまう。
クールな顔なはずなのに、笑うとかわいい顔になる。

やっぱり私、好きだなぁ・・・・・・


「なんか、来ちゃった・・・」
「いいよ、入って。」
「お邪魔します。」

私は太陽くんにうながされ、リビングのソファに座る。

「私ね、わかんなくなっちゃったの。」
「何が?」
「友達。」
「何で?」
なんだか太陽くん、口数が少ない気がする。
でもわかるんだ。冷たいわけじゃなくて、私が落ち込んでいるから、真剣に聞いてくれてるんだって。だってほら、ずっと太陽くんの視線が、こっちを向いている。

「今日、友達に言われたの。
私が好きだった人は、その子のことが好きだったって。」
「どういう・・・」
「私ね、昨日雨の中にいたでしょ?あれね、傘忘れたのもあったんだけど、好きな人にフラれちゃったからなの。」

「え?」
「好きな人に、フラれたの。」
「・・・」
「その人は、好きな人がいるからって言った。その好きな人は、私の友達だった。」

「雨、ちゃん・・・」
「友達はね、前々から好きだって言われてて、わかってたの。私への答えを知ってて、がんばれって言ったの。」
「・・・」

「私、親友って言ってくれたのにひどいって怒っちゃったの。・・・わかんなくて」
「その子はさ、言わなかったんじゃなくて言えなかったんじゃない?」

「え?」
「勇気を出して、告白しようとしてる雨ちゃんを見て、本当のこと、言えなかったんだと思う。」
「でも、好きだったの・・・私、答えがわかってたら告白なんて・・・」
「その子も、好きだったんじゃないかな。友達が、自分の好きな人の話をしたら、僕でもきっと何も言えなくなる。」
「え」
「僕も、友達とは思ってないけど、好きな人が僕じゃない好きな人の話してて、実はつらかったりするんだ。」
「太陽くん?」
「好きな人が僕以外の男のことで悲しそうに話してるとこ、見てると僕は悲しい。」

「それって」
ーギュッ。

え、え?びっくりした、どうしたの太陽くん?何この状況・・・熱い、暑いよ太陽くん・・・。


「僕にすれば?」
「・・・」
え、なんて言った?今。
──僕にすれば?───
それってどういう意味?わけわかんないことが多すぎて、頭の中がぐちゃぐちゃだよ。
何も考えられない。。

「僕は雨ちゃんを泣かせない」
「・・・・・・」


______「好きだから」。




「え、あのっ・・・」
「返事は、次の雨の日でいいから。」
全身が熱くなる。それってこれって、つまり告白ですか?

「てかさ、行ってきなよ、友達んとこ。」
「え、いや、さっきのは・・・?」
「いいからっ、仲直りしたいんでしょ?」
太陽くん、もしかして照れてるの?
ううん、でも今は・・・


「ありがとう。私、いくね!」
「うん、あ、これ。」
太陽くんの左手が伸びてくる。
何か、2つに折りたたまれた紙を持ってる。
「これ、?」
「何かあったら連絡して」
その紙を開くと、不並びの数字が書かれていた。マジですか、うれしい。
その数字達からは、慌てて書いてくれた優しさが、伝わった。
「・・・ありがと」
「早く行きなよ!」
まだ照れてるみたい。
そうだ、花ちゃんはどうしてる?
きっとまだ、私のこと気にかけてるよね。
だってあんなに悲しそうな顔してたから・・・



「また 雨の日にね」



ーパタンッ。
ドアの向こうで、
「まってる」
と聞こえた気がした。
ありがとう、やっぱり会いに来てよかった。
私、自分のことしか見えてなくて、
花ちゃんの気持ち考えようとしなかった。

ープルルルル・・・
「もしもし、花ちゃん。」
「あ、め?」
「ちゃんと話したいの。公園で待ってる」



───公園───

「雨」
「花ちゃん」
「あたし、ごめんね。本当は少しうれしかったんだ、ショウが好きだって言ってくれて。雨がショウのこと好きだって、告白するって言った時、驚いて・・・。雨が傷つくの知ってて、応援してしまった。ごめん・・・雨」

「わかってるよ、花ちゃん。
てゆうか、わからせてくれた人がいるの。その人のおかげで気付けた。私こそごめんね。自分のことばっかりで、大好きな花ちゃんに怒っちゃった」
花ちゃんは、悲しいような嬉しいような顔で、こっちを見つめていた。
「うぅっ、あたしも雨大好き!」
「ありがとう」

こっそり太陽くんにも言ったんだ。

「この公園、昔よく一緒に遊んだね。おぼえてる?」
「そうだねぇ、おぼえてる」
「小学校以来だっけ、花ちゃん泣かしたの(笑)」
「そうだっけ(笑)」
「久しぶりにブランコ乗って帰ろっか」
「うんっ」
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