恋空rain’s
第7章「すれ違うスキ」


あれから私は、放課後太陽くんと一緒に帰ることはなかった。
あれから一週間、退院してから2回目の水曜日。天はこちらの事情を察してか、雨を降らせることはなかった。

ーそして放課後。私はそそくさと帰り支度を済ませ、寄り道をして、花と公園に来ていた。


ギー・・・、ギー・・・
ブランコの錆びたくさりの音。
私達はなんとなく黙っていた。

どっちから語り出すか・・・そんな雰囲気だった。

ギー・・・、ギー・・・
ブランコを止めたのは花だった。
こういう時 私は決まって先頭をきれない。
だから私は、積極的な、花のそういう所を尊敬するのだ。


「橋本くんのこと、さけてるの?」
「・・・さけてる、のかな。」
「さけてるでしょ、完璧」
「・・・・・・」

「もう会わないつもり?」
「合わせる顔、ない」


「あっ、そうだ・・・」
「え、何?」
雨は〜と言った花は、ひらめきの神様に導かれていた。
「きまずくて、一緒に帰れない」
「うんうん」
「そんで雨の日しか会えない」
「うんうんうん」

「となるとスマホだよ!」
「へ?」

「メールか電話なら、きまずくないんじゃない?」
「そっか・・・番号もらったし・・・」
「おまけに言うと、会ったことにもならないから、雨の日は特別なまんま♪」

「ほえーー」
「ほえーって何よ、ほえーって(笑)」
「花の天才ぶりに、びっくりしちゃって」
「まあ、それほどでもあるけど」
「あるんかいっ」

「じゃあ、今夜、橋本くんに連絡しなさい」
「こ、今夜?!」
「あたぼーよ!ぐだくだしてたら時は流れるばかりよ。」

・・・

「わかった。」

「うん、雨ファイト!」



────夜────

私は携帯を手に取った。
スマホ様は役に立つ。
こいつに私の運命がかかっている。
生か死か、天国か地獄かー・・・ちょっと大げさだけど。


えっと、まずは、電話かメール。
どちらにする?

心の中にてんびんをかけ、
その重さを計る。

重いのはやっぱりやめておこう。
男というものは重いのが嫌いだと、風の噂で聞いたことがある。

てってれー!(←これは私の効果音)
なんと電話が重かった。ということはメールか。

やはりここは声より文字だ。
よしっ、メールで行こう。



その一、メールアプリを開く。
その二、電話番号で追加っと。
その三、トーク画面を作成する。
その四、私はスマホとにらめっこ。

何を送ればいいのー!!!

とりあえず。



「こんばんは」
挨拶は、大事よね。


ーピコンッ。

もう来た?返信みるの怖いよ・・・

おそるおそる画面を開く。



「こんばんは」




はえー、コピペしたかのような返しぶり!
もっとなんか、ないのっ??
なんでふたりして夜のご挨拶なのよっ!!




ーピコンッ。

え???なんだろ、今度は「元気ですか」とか言わないだろーな、連続攻撃はつらい。
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