君と二人の201号室


「賛成。菜帆にはリハビリが必要だと思う。甘えるリハビリ」

「私、菜帆ちゃんのお姉ちゃんになる!」

「じゃあ私は、菜帆ちゃんのママ~♪」



え?え?

…この状況についていけないの、私だけですか…?


でも、ほんと言うと、知りたい。

『家族』って、何なのか。



「…ってなわけで、やるよね?」

「はい…!」



こんなに真剣に私のことを考えてくれる人がいて、私は嬉しくなった。

頑張って、みたい…と思った。



「菜帆、俺はさ。甘えてもらえたら嬉しい。菜帆にかけられる迷惑なら、喜んで引き受ける。それはさ、菜帆のことが大好きだからだよ?」

「…はい」



嬉しいけど、恥ずかしくて、むず痒い。

それに、さっきからくどいけど、みんなの前だし…!

…返事に困る。



「例えば菜帆はさ、大好きな人に頼ってもらえたりして、迷惑だって思うの?」

「…思わないです」



拓海さんに頼ってもらえたら、嬉しい。

瞳さんにも、何か力になれることがあるなら、力になりたい。

由奈ちゃんや紘子ちゃんのお願いだって喜んできくと思うし、千聖さんのことだって、何かしら手伝ったりしたい。



「…じゃあ、菜帆は大好きな人関連で、何かこっちまでやらなきゃいけない状況だとしたら、どうしたい?」



…こういうときは、私の状況を拓海さんに置き換えて想像してみるのが手っ取り早いと思う。


…もしも、拓海さんのおうちの借金があったとしたら。

それを、私が肩代わりしなきゃいけなくなったら。


…多少なりは戸惑う…と思うけど、力になれたみたいで嬉しい。



「菜帆、何か想像できた?」

「はい…。戸惑うけど、力になれたら嬉しいなぁ…って」

「俺たちが言ってるのもそういうことだよ」

「そうなんですか…?」




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