君と二人の201号室
友情&チョコレート
あったかいお正月から早一か月。
もう2月になってしまった。
…最近やっと気付いたけど、2月って12月とか1月より寒い。
風も冷たいし。
…あ、甘い匂い。
「菜帆、どうした?」
「いや、甘い匂いがするなぁ…って。なんだろう…」
「…チョコでしょ。もうすぐバレンタインだし。菜帆は?カ・レ・シにあげないの?チョコレート♡」
由奈ちゃんのニヤニヤ顔のアップが、私の視界を覆う。
…なんでそんなに楽しそうなの。
「…バレンタイン近いのは忘れてたけど…。作る。今決めた」
確か、好きな人にチョコレートをあげる行事…だったはずだから。
とびっきりおいしいチョコ作って、拓海さんに渡したい。
……気付いてよかった。
「…そこまで白状しなくてもいいよ。けど、作るならさ、お願いがあるんだけど」
「?なに?」
由奈ちゃんからのお願いなんて珍し…くないな、うん。
でも、なんか少し、ソワソワしてるように見えるのは…気のせいじゃないはず。
こんな私でも、由奈ちゃんの友達だし。それくらいわかる。
「チョコ作るの、手伝ってほしい…」
「もしかして、好きな人いるの!?」
俯きながら「うん」と頷いた由奈ちゃん。
めっちゃ可愛い。…『女の子』って表情だ。
「へぇ~。どんな人?」
紘子ちゃんナイス!
聞きたい聞きたい!
「…バイト先の、前田くんって人…」
「イケメン?年上年下?どこの学校?」
…紘子ちゃん、私たちまだ高1だし、年下でバイトできる人なんていないんじゃないかな…。あ、でも、年誤魔化してたらいるかもだけど。