君と二人の201号室


「可愛い。ほんと可愛い」

「へ?」



…今のに、そんなこと言われる要素あったかな。

私はただ、ヤキモチだ…って白状しただけだけど。



「ヤキモチ妬いてるのとか、嬉しいし。菜帆からの愛を感じる」

「………いつもは感じられないみたいで、すみません……」



嬉しそうな拓海さんの横で、私の口から出たのは弱々しい呟きだった。


やっぱりまだ、感情表すの上手くないんだろうな…私。



「ん?感じてるよ?例えば、毎日お弁当おにぎり入れてくれるとことか、」



それは、前に拓海さんが「おにぎり好き」って言ってたから…。



「俺が朝弱いから、少し早めに起こしてくれるとことか、」



…そうじゃないと絶対間に合わないし…拓海さんに頼まれた時間じゃ…。



「あと、寝言で俺の名前呼んでるときとか」

「…そうなんですか?」



それは、言われてもわからない。


でも最近、心地いい夢を見ている気がするのは、もしかしたら夢の中に拓海さんが出てくるからなのかもしれない。

…そうだといいなぁ。

夢でも会えるって、なんかロマンチックだし。



「菜帆からの愛は、そんなわけで常に感じてるけど、やっぱヤキモチは別格だよね。うん、天使」

「はぁ…」



うん、よくわかんないけどわかった。

これ以上聞いても多分何もわからないだろうということが。


まぁ、とりあえず由奈ちゃんたちに「OKだったよ」って連絡しとこう。




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