君と二人の201号室





さて、お待ちかねの土曜日。

由奈ちゃんと紘子ちゃんと約束した日。

…ある意味、決戦の日でもある。自分との戦い。



「お邪魔しまーす!」

「お邪魔します…」

「どーぞー」



二人を迎え入れたのは、私ではなく拓海さん。

私はチョコ作りの用意をしている。



「お、菜帆の彼氏さんですか?超イケメン~♪」

「ホントだ」

「二人ともいらっしゃい。菜帆が準備して待ってるから。入って入って」

「じゃ、改めてお邪魔しまーす!」



二人とも、拓海さんの見た目に騙されない方がいいよ。

ちょっとかなり、おかしい人だから。

…あ、でも案外、由奈ちゃんとは気が合いそう。テンション高い者同士。



「菜帆、ヤッホー。来たよ☆」

「うん、いらっしゃい」

「にしても彼氏、イケメンだねぇ」

「…でも、ちょっと変わってるよ?」

「でも、そんな彼氏さんが好きなんでしょ?」

「そう、だけど…」



見透かされて、恥ずかしくなり俯く。

拓海さんに聞かれてないといいけど。

…とか思ってると、大体聞かれてるパターンな気がする。



「由奈、菜帆をあんまりからかわないの。今日は特に、チョコ作り教えてもらうんでしょ?拗ねちゃったらどうすんの」

「あ、うん。ほどほどにしないとね」

「…そもそもやらないでほしい…」



気遣ってくれる紘子ちゃんの言葉に、ハキハキと答える由奈ちゃんだけど、私にまで会話が丸聞こえだったから、ポツリと本音が漏れてしまった。




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