君と二人の201号室
*
さて、お待ちかねの土曜日。
由奈ちゃんと紘子ちゃんと約束した日。
…ある意味、決戦の日でもある。自分との戦い。
「お邪魔しまーす!」
「お邪魔します…」
「どーぞー」
二人を迎え入れたのは、私ではなく拓海さん。
私はチョコ作りの用意をしている。
「お、菜帆の彼氏さんですか?超イケメン~♪」
「ホントだ」
「二人ともいらっしゃい。菜帆が準備して待ってるから。入って入って」
「じゃ、改めてお邪魔しまーす!」
二人とも、拓海さんの見た目に騙されない方がいいよ。
ちょっとかなり、おかしい人だから。
…あ、でも案外、由奈ちゃんとは気が合いそう。テンション高い者同士。
「菜帆、ヤッホー。来たよ☆」
「うん、いらっしゃい」
「にしても彼氏、イケメンだねぇ」
「…でも、ちょっと変わってるよ?」
「でも、そんな彼氏さんが好きなんでしょ?」
「そう、だけど…」
見透かされて、恥ずかしくなり俯く。
拓海さんに聞かれてないといいけど。
…とか思ってると、大体聞かれてるパターンな気がする。
「由奈、菜帆をあんまりからかわないの。今日は特に、チョコ作り教えてもらうんでしょ?拗ねちゃったらどうすんの」
「あ、うん。ほどほどにしないとね」
「…そもそもやらないでほしい…」
気遣ってくれる紘子ちゃんの言葉に、ハキハキと答える由奈ちゃんだけど、私にまで会話が丸聞こえだったから、ポツリと本音が漏れてしまった。