君と二人の201号室

「あ、そうだ菜帆。お世話になるから、そのお礼もちょっと兼ねて、いいもの持ってきたんだ～！」

「そうなの？気にしなくてよかったのに…。でも、ありがとう」

「使うよね？」

「うん。ありがたく使わせていただきます」



私がそう返事をすると、由奈ちゃんと紘子ちゃんは小さくガッツポーズした。

…そこまで？



「菜帆、今の言質取ったからね！」

「う、うん…？」



…嫌な予感がするのは気のせい…？

ううん、気のせいじゃないはず。

だって、恐ろしいほどニヤニヤしてるし。



「じゃーん！フリルエプロン！菜帆にはこれを着てもらいます！」

「お礼じゃなかったの…？」



…話が違うんですけど。

え、これ、お礼とかじゃないよね…？完全に罰ゲームで用意されるやつだよね…？



「お礼だよ、お礼。ここを使うこと承諾してくれた菜帆の彼氏さんへの」



…そっち？

いや、だとしても。だとしてもだよ？

これはひどいんじゃないでしょうか由奈様…。



「菜帆、『使う』って言ったよね？」

「…………………ハイ」



自分でもわかっている。

多分、今の私の顔はものすごくブサイクだ。


だけど、さっき言っちゃったし…！

…言っちゃったし…。


それに、どっちにしろ、私が頷かなかったとしても、無理矢理着せられることになることが予想できたし。大人しく頷くほかない。

…あと、拓海さんがそれでもしかしたら、本当に喜んでくれるかも…褒めてもらえるかも…って思っちゃったし。