君と二人の201号室


…自分の部屋に行き、手にしたものをしばらく眺める。

本当に着なきゃいけないよね…。


覚悟を決めるんだ、私…!

頑張れ…!


そう決めてすぐ、決心が揺るぐ前に早々と着替える。


…着替えた、けど…。

やっぱり私にはこんなに可愛いのは似合わないと思う。



「菜帆、できた?着れた?手伝ってあげようか?」

「い、いや、大丈夫!もう着換え終わったから!」

「じゃあ、早く出てきなよ~」



ドアの前で待ってる二人に急かされる。

ちょっと待って、まだ見られるっていう心の準備ができてない…!


深呼吸してからドアを開けたけど、恥ずかしくて俯いたままの顔は上げられない。



「ちょっと菜帆、可愛いじゃん!思った通り!それあげるから!」

「えぇ…」



…そんなに写真撮らないでいいから。

音すごい。見なくても音でわかる。



「菜帆カレさん!見てください!ほら、菜帆超可愛いです!」

「え、マジ…!?」



あぁ、拓海さん。

そんなにワクワクした感じで来ないでください。

…恐ろしいほど落胆させると思います。悲しいことに。


私の気持ちは、どうやら届かなかったようで。

目の前は床なのに、匂いで拓海さんが来たことを感じる。



「う…わ…。これはヤバいわ…」

「ですよね!?」

「うん。何この天使。いや、女神?ほんと何なんだろう、この可愛すぎる生き物。この世に存在したんだね」

「おぉ…。菜帆カレさん、こんな人だったのか…」



ほら、若干二人とも引いてるし。



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