君と二人の201号室
「菜帆、あーんしてよ」
「え!?」
…それはいささか、ハードルが高すぎじゃないでしょうかね…拓海さん。
私にはレベルが高すぎます…!
それでも、拓海さんは取り消しはしないわけで…
「はーやーくー」
「…」
むぅ…。可愛いじゃないですか…!
…そうだ、拓海さんだと思わないで、小さい子だと思えば…!
「わかりました。口開けてください…」
「はーい」
拓海さんが大きく口を開ける。
その口の中に、トリュフを一つ入れる。
――パクッ
「…!」
私の手まで!私の手まで食べた!?
…心臓、ドキドキどころかバクバクいってるんですけど…。
「…ん、おいし」
拓海さんに食べられた指先のあたたかさがなかなか冷めなくて、一向に動悸が収まらない。
な、なんてことをしてくれるんだ、この人は。
…ニヤニヤしてるし。絶対わざとなんでしょう?
「菜帆、顔赤いよ?どうしたの?」
「…拓海さんの、せいじゃないですか…」
「え~。なんのこと?」
「…自覚してるくせに…」
わかっててわざと聞くなんて、意地が悪すぎると思うんですけど…。
「ふふ、ごめんごめん。菜帆があまりにも可愛いから、つい。からかいたくなっちゃって。許して」
「許さないことは、ないですけど…」