君と二人の201号室
着替え終わってリビングに行くと、カップ麵を用意してもらってたことを思い出す。
…多分、伸びてるだろうなぁ…。仕方ないか。
「拓海さん、出ました~」
「あぁ、わかった。じゃ、今からお湯入れるよ?」
「…!ありがとうございます…!」
細かいところにも気がつく拓海さん、さすがです。すごいです。かっこいいです。
…もっと、好きになっちゃいます。
しかも、自分の分にも、まだお湯入れてないみたいで……嬉しい。わかりやすくにやけてる気がする、私。
「…ふぅ、できた。菜帆、今何時何分?」
「ええっと……7時28分です…!」
「なら、これは…4分だから、32分になったら食べれるね」
「そうですか…。ありがとうございます…!」
「菜帆、さっきからお礼言い過ぎ。別にいいのに、こんなこと」
そんなことを言ってくれる拓海さんだけど、でも…私が嬉しいから、それこそそんなこと気にしなくていいのに。
「…私が嬉しいから、お礼言うんです。感謝とか…伝えるのは大事だと思うので」
…好き、とか、そういうことは、なかなか口にできないけど、感謝の気持ちなら、恥ずかしがらずに伝えられるから。
…言えることは、できるだけ言いたいな…なんて。変なのかな。
「…じゃあ、俺も嬉しいから言うね。ありがとう、菜帆」
「…えっと…どういたしまして…?」
なんだかよくわからない答えに、お互いに吹き出した。
そのまましばらく笑ってたら、4分なんてあっという間で。
出来上がったカップ麵をすすって、それから……。
*
その日は、落ち着いた気持ちで眠れた。