君と二人の201号室
止めようとしたのに、そのまま腕を引っ張られて…
――拓海さんと同じ布団の中。
…こ、こ、ここ、これはマズい……!(動揺)
「菜帆、一緒に寝よう?二度寝はいいよ?」
「ダメです…!」
動転してしまった心を何とか落ち着かせて、必死に拓海さんを止める。
本当にこの人は、何やらかすかわからない。
…そういうとこも、好きだけど。
「それに、今日は会えたらお母さんに会うって決めてるんです…!ダラダラするわけにはいかないんです…!」
「はは、そうだったね。じゃ、仕方ない、起きるか~」
…冗談なんだか本気なんだかよくわかんなかったけど、とりあえずこの状況から免れてよかった~!!
本当に拓海さんは、そのうち私を殺すつもりなんだと思う。そのくらい、ドキドキしてて、死ぬ…ほどかはわからないけど、きっと私の寿命は縮んでると思う。
…他の人にもそんなことしてたら、ヤですからね。
…なんて、拓海さんはそんなことしないって信じてるけど。
「菜帆チャージする」
「え?」
起き上がってすぐに、拓海さんがそんなこと言うものだから、私はまたびっくりして少し固まってしまったんだと思う。
だって、拓海さんはゆっくり近づいてくるのに、私は一向に動き出せないから。
――ギュッ
優しく抱きしめられて、触れられたところが、痛くもないのにジンジンする。
だけどやっぱり、嫌じゃない。
「抱き枕になりそ…「寝るのはダメです」
私がすかさずそう言うと、拓海さんは笑って「冗談だよ」って言ってた。