君と二人の201号室


拓海さんが連れていってくれるところは、オシャレなお店ばっかりだから…今着てるジャージなんかじゃ、とてもじゃないけど入れない。

クリスマスデートのときとか…拓海さんの実家にお邪魔したときとかは、拓海さんの職場から少し、拓海さんが見繕って持ってきてくれた。


いっそのこと、冬服で行こうかな…。



「大丈夫。実は、一着だけ洋服あるから。…まぁ、今回は新品じゃなくて、姉貴のお下がりだけど…大丈夫?」

「はい、多分…。露出が少ないのなら、充分です」

「うん、そう言うと思って、露出少なめのをチョイスしてきたよ」



さすが拓海さん、わかってらっしゃる…!


拓海さんが見せてくれたのは、淡い黄色のワンピース。

白い花の刺繡がしてある。素朴で可愛い。



「じゃ、じゃあ、着替えてきますね!」

「ん。絶対似合うよ、菜帆に」



自分の部屋に行って、もらったワンピースに着替える。

…なんで、こんなにピッタリなんだろう。

瞳さんと私の体の大きさは、結構違う。瞳さんの方がスラッとしてるから、きっと服のサイズも大きいはずだ。

だから、少しぶかぶかかな…なんて思ってたんだけど。

ピッタリでありがたいし安心って言ったら安心なんだけど、でもなんでこんなにピッタリなんだろうと思うと、不思議だし、ある意味ちょっとした恐怖かもしれない。


でも…自分で言うのもなんだけど、私が持ってる服の中で、一番私に似合っていたことが一番のびっくりかも。

早く拓海さんにも見てもらいたいな。


そう思い、拓海さんのところへ行くと、拓海さんは目を丸くしていた。

………拓海さんは、もしかして「似合わない」と思ったんだろうか。もしそうなら、少し自信があっただけにちょっと悲しい。



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