君と二人の201号室
「菜帆、超っっ絶似合ってるよ!!」
「あ、ありがとうございます…」
いつの間にか私の目の前に来た拓海さんは、私を(いつものように)べた褒めして、私を抱きしめた。
…似合ってないんじゃなくてよかった…。
「じゃあ、行く?買い物」
「はい…。でも、買いすぎないでくださいね?少しでいいんですからね?…っていうか自分で払えばいっか…」
「いや、少しにするから、俺に出させて?」
…拓海さん、上目遣いはズルいです。反則です。
少しの間、私は悶絶していて、口から出た答えはもちろん「はい」だった。
断れるわけないじゃないですか、そんな顔されたら。
心の中で拓海さんに小言を言いつつも、大人しく拓海さんについて行って、部屋を後にした。
「菜帆、どうする?自転車?車?歩き?」
「…なんでもいいです」
でも、あえて言うなら、歩きがいいかもしれない。
その方が、長く一緒にいられるから。…いつも一緒にいるけど。
「…んー。天気もいいし、そんなに遠いわけじゃないから、歩きで行く?」
「!はい…!」
エスパー拓海さん、発動。
少しゾクッとするくらい、ピンポイントで私の気持ちを読み取ってるというか…。
まぁ、今のは、偶然なのかもしれないけど。
…エスパー拓海さんは、最初はちょっと怖かったけど、今はもう慣れた。
けど、私はできないから悔しい。ほんの少し。