君と二人の201号室





楽しかった拓海さんとのデートも終わってしまって、もう日が暮れようとしている。

…また行きたいな、デート。

拓海さんにそう伝えたら、なんて言ってくれるだろう。



「結局、めっちゃ楽しいデートだったね、ただ単に。今日、俺も仕事休んだし、菜帆も学校休んだのに」

「…でも、楽しかったからいいです」



思ってることを伝えてみる。


すると、拓海さんは驚いたような表情をする。

…そんなに意外だったんですか……?


なんて思ってると、拓海さんの表情はだんだんと柔らかくなっていって、優しく笑ってくれた。



「菜帆も楽しんでくれたならよかった」

「当たり前です。楽しくないわけないじゃないですか」



…拓海さんと一緒なら尚更。

それは、恥ずかしくて言えないけど。



「……あ、菜帆、」

「なんですか?」

「前」



拓海さんに言われて、まさかと思い、前を見ると。

――そこには、私たちの住んでいる部屋のドアの前に立っている、お母さんがいた。



「あ……な、菜帆…?」



やっぱり昨日みたいに、不安そうな声で聞いてくるお母さん。



「…菜帆、この人お母さんなの?」

「…はい」



コソッと尋ねてくる拓海さんに、私は小さく頷く。

一応、お母さんだ。…一応。



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